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公開日:2026年6月2日 | 最終更新日:2026年6月2日
・技人国ビザは転職後も自動的に有効とは限らず、新しい仕事内容の確認が必要
・在留資格は会社名ではなく「実際の業務内容(活動)」によって判断される
・学歴との関連性が弱い業務や、接客・単純作業が中心の業務は不許可リスクが高い
・転職後の業務に不安がある場合は「就労資格証明書」で事前確認できる
・採用企業も不法就労リスクを避けるため、業務内容と在留資格の適合性確認が重要
技術・人文知識・国際業務は、「一度許可を受ければ、どの会社でも同じように働ける」という制度ではありません。転職や社内異動により、実際に従事する仕事内容が変わる場合には、現在の在留資格でその業務を行えるかを改めて確認する必要があります。
この記事では、転職時・業務変更時に注意すべき「活動ベース」の考え方と、就労資格証明書の活用、さらに企業側のコンプライアンス対策について整理します。
同じ「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている場合でも、転職後の仕事内容や社内での業務変更によっては、在留資格上の問題が生じる場合があります。
例えば、
ITエンジニア → 海外営業
経理職 → 店舗接客中心
といったように、活動内容が大きく変化している場合には注意が必要です。
技人国ビザは、「会社に所属していること」ではなく、「どのような専門的活動を行うか」に基づいて認められる在留資格だからです。
そのため、
・現在の在留資格のままで就労可能か
・在留資格変更許可申請が必要か
・更新時にどのような説明や立証が必要になるか
を、入管法の観点から客観的に確認することが重要です。
また、現在の在留資格で新たな業務が認められるか不安がある場合には、転職や採用の前に「就労資格証明書」の交付申請を行うことも有効な方法です。
就労資格証明書とは、
「これから従事する業務が、現在の在留資格で認められる活動に該当するか」
について、入管から事前に公的な証明を受ける制度です。
転職後のビザ更新で不許可になるリスクを減らすためにも、仕事内容や学歴との関連性に少しでも不安がある場合には、この制度を活用して事前に適法性を確認しておくことが重要になります。
在留資格の審査は、過去の許可実績だけでなく、「現在の外国人本人と所属機関(転職先の企業)の状況」を総合的に評価して行われます。
そのため、転職や業務割合の変更等がある場合には、前回の許可実績に関わらず、改めて「在留資格該当性」や「上陸許可基準適合性(報酬など)」、「専攻科目と業務の関連性」が厳格に審査されます。
「以前の会社で許可されたから、今回も同じビザを持っているから大丈夫だろう」と安易に判断せず、現在の業務実態を客観的資料に基づいて整理し、自ら立証することが不可欠です。
① 学歴と仕事内容の「関連性」の立証が弱いケース
技人国ビザでは、大学や専門学校での専攻科目と実際の業務との間に関連性が認められない場合、不許可リスクが高くなります。
特に「専門学校卒業(専門士)」の場合は、大卒(柔軟に判断される)とは異なり、原則として「専攻内容と実際の業務に相当程度の関連性(直接的な結びつき)」が厳格に求められます。
専攻内容と業務にズレがある場合や専門性の説明が弱い場合には、必須書類だけでなく「雇用理由書」等で関連性を論理的に説明・立証する必要があります。
② 接客業・店舗業務が多く、単純作業が含まれるケース
飲食店や小売店に転職する場合、「店舗の運営・管理」「外国人顧客への専門的な対応」「海外向けマーケティング」といった学術的知識を要する業務が中心(主たる活動)であれば許可される可能性があります。
しかし、実態が「配膳」「レジ打ち」「接客のみ」である場合は、「反復訓練によって従事可能な単純作業」とみなされ、専門性が欠如しているとして不許可となります。
③ 「通訳・翻訳」という肩書きで実態が伴わないケース
実務上、「通訳・翻訳」という肩書きで申請していても、実態が倉庫内での仕分け作業や飲食店での接客が中心であり、そこに勤務する外国人アルバイトに対して業務指示を通訳する程度しか行っていないようなケースがあります。
入管の審査では、このような場合は「通訳・翻訳を行う十分な専門的業務量が継続して存在しない(実質的な単純労働目的の採用である)」と判断され、不許可となります。
在留資格審査において、雇用契約書は重要な資料ですが、それに記載された「営業」や「総合職」といった抽象的な職種名だけで許可が決まるわけではありません。
実際の審査では、「具体的な1日の業務内容」「組織図(他の日本人社員との役割分担)」「会社の事業規模」などから、仕事内容の実態が客観的に確認されます。
特に事業実態が伝わりにくい中小企業や店舗等(カテゴリー3・4)においては、「雇用理由書」や「業務フロー図」などを任意で提出し、専門的業務量がフルタイムで存在することを積極的に立証することが重要です。
在留資格は一度許可されれば永久に保証される制度ではありません。更新時にも、「現在の仕事内容に単純作業が含まれていないか」「適正な報酬が継続して支払われているか(日本人と同等額以上か)」等が厳しく確認されます。
また、本来の在留資格に基づく専門的活動を継続して3ヶ月以上行っていない場合や、資格外の単純作業に長期間従事していたことが判明した場合、次回の更新が不許可となるばかりか、在留期間中であっても「在留資格取消し」の対象となる重大な法的リスクがあります。
そのため、転職や社内での業務変更がある場合には、新たな業務が専門的活動に該当するかを早めに整理しておくことが非常に重要です。
【行政書士のアドバイス】
転職時の「就労資格証明書」の活用とコンプライアンス対策
外国人が転職をする際、企業様や外国人本人が陥りやすいトラブルの一つが、「前の会社と同じ『技術・人文知識・国際業務(以下、技人国ビザ)』の在留資格を持っているから、次回の更新時まで特に手続は不要だろう」と自己判断して、そのまま就労を開始してしまうケースです。(この際、入管法で義務付けられている「契約機関に関する届出」まで漏れてしまう事案も多いです。)
しかし、技人国ビザは「特定の会社に所属していること」に対してではなく、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的活動」に対して許可される在留資格です。
そのため、転職後の業務内容によっては、
・大学等での専攻科目と現在の業務に関連性が認められない
(例:ITエンジニアから関連性のない営業職への変更)
・反復訓練によって従事可能な単純作業(接客や現場のライン作業等)
の割合が高い などの理由により、現在の在留資格で認められる活動に該当しないリスクがあります。
もし、活動内容が不適合な状態のまま就労を開始し、転職後初めて行う在留期間更新許可申請の段階で「新しい会社での業務は、現在の在留資格で認められる活動に該当しない」と判断された場合、更新が不許可(=帰国)となるばかりか、在留期間の途中であっても「在留資格の取消し」の対象となる可能性があります。
さらに企業側も、事業活動に関して不法就労活動をさせたとして「不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又はその併科)」に問われる極めて重大な法的リスクが生じます。
こうした法的リスク減らすための、有効な手段の一つが「転職時に『就労資格証明書交付申請』を行うこと」です。
就労資格証明書とは、「新しい会社で従事する予定の業務が、現在の在留資格で適法に行うことができる活動に該当するかどうか」について、事前に入管(地方出入国在留管理官署)から公的な証明を受けるための制度です。
特に、
・事業実態や専門性が書面から伝わりにくい中小企業(カテゴリー3・4)への転職
・前職と業種や職種が大きく変わる転職
・業務の一部に接客や現場業務を含む複合業務のケース
などにおいては、就労開始前にこの証明書を取得しておくことで、次回の更新時のリスク軽減とスムーズな審査につながります。
企業様にとっても、「採用後に在留資格上の問題(不法就労)が発覚するコンプライアンス違反リスク」や「次回の更新不許可によって突然従業員を失う雇用継続リスク」を未然に防ぐことができるため、中途採用時における実務上不可欠な確認ポイントとなります。
【行政書士のアドバイス(審査をスムーズに通すための+α)】
実務上、中途採用の現場で企業様が「就労資格証明書」の制度を活用して自己防衛を図る際、併せておすすめしている+αの工夫が「停止条件付き雇用契約の締結」です。
通常、応募者(外国人)に内定を出したとしても、その方が新しい業務で就労資格証明書を取得できる(=自社で適法に働ける)かどうかは入管の判断次第であり、業務内容によっては「不交付(現在の在留資格には該当しない)」となるリスクもゼロではありません。
このジレンマを解決するため、『Q&A』Q20※でも例示されているように、雇用契約書の「入社日(契約の始期)」の欄に、単に「令和〇年〇月〇日」と書くのではなく、「就労資格証明書(又は在留資格変更許可)が地方出入国在留管理官署から交付された日を就労開始日とする」という停止条件を一筆入れておきます。
この特約を入れておくことで、万が一就労資格証明書が下りなかった場合でも、企業側は在留資格上問題のある雇用契約を避けられます。コンプライアンスを守りつつ、安心して外国人の中途採用を進めるために、ぜひ標準の契約フォーマットとして取り入れていただきたい実務テクニックです。
※就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)
出入国在留管理庁
在留資格制度を正しく理解し、適法かつ安全に外国人を雇用するための第一歩は、在留資格が「日本でどのような活動を行うか(活動に基づく在留資格)」を基準に許可される制度であるという前提を理解することです。
特に「技術・人文知識・国際業務」の審査においては、以下の3点が許可を分ける重要な要素となります。
・一定水準以上の専門性
(反復訓練によって従事可能な単純作業の排除)
・学歴や職歴との関連性
(学校での専攻科目と実際の業務内容との合理的な結びつき)
・実際の仕事内容と業務量
(在留期間中の活動全体として専門的業務が中心であること)
また、入管の審査では、提出された雇用契約書や「総合職」といった書類上の説明(肩書き)だけで許可が出るわけではありません。審査の過程で疑義が生じた場合には「実地調査」等が行われ、現場の勤務環境や日本人従業員との役割分担など、「実際の勤務実態」が厳格に確認されます。
仮に書類上は専門職を装っていても、実態として単純作業を行わせていたことが判明すれば、不許可や「在留資格取消し」の対象となるだけでなく、企業側もコンプライアンス違反(不法就労助長罪)に問われるリスクがあります。
そのため、
・新たに外国人を採用する、または他社からの転職者を雇い入れる
・社内の人事異動等で外国人の仕事内容が大きく変わる
・任せたい業務が「技術・人文知識・国際業務」に当てはまるか不安がある
・本人の学歴(特に専門学校卒)と業務との関連性の説明に不安がある
という場合には、決して自己判断で安易に就労を開始させず、事前に「就労資格証明書交付申請」を行って入管から公的な確認(お墨付き)を得るか、申請前に立証の専門家である行政書士へ相談し、客観的な立証準備を整えておくことをお勧めします。
転職や業務変更の場面では、「すでに技人国ビザを持っているから大丈夫」と考えるのではなく、新しい仕事内容が現在の在留資格で認められる活動に該当するかを確認することが重要です。就労資格証明書の活用も有効な選択肢となります。
在留資格は、書類上の肩書きではなく、実際の活動内容とその立証によって判断されます。採用・転職・社内異動の前に業務内容を整理し、必要に応じて専門家へ相談することで、不許可や在留資格上のトラブルを防ぎやすくなります。
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