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公開日:2026年6月9日 | 最終更新日:2026年6月9日
・高度専門職はポイント制で審査され、原則70点以上
・年収・学歴・職歴だけでなく、日本語能力や研究実績も評価対象になる
・在留期間5年、永住申請の早期化など通常の技人国ビザにはない優遇措置がある
・転職時には在留資格変更が必要になる
・企業加点を活用すれば、高度専門職の要件を満たせる可能性がある
前回は、技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)と高度専門職の制度上の違い、そして技人国ビザの許可要件について解説しました。
高度専門職は、学歴や職歴、年収などをポイント化し、高度な専門性を有する外国人材に対してさまざまな優遇措置を認める制度です。しかし、「70点以上なら必ず許可される」「年収が高ければ取得できる」といった誤解も少なくありません。
実際には、活動類型ごとに異なるポイント計算が用意されており、年収の算定方法や証明資料の準備、企業側の加点制度など、実務上確認すべき事項は多岐にわたります。
第2回では、高度専門職の審査基準やポイント制度の仕組み、優遇措置の内容、さらに企業側の加点制度について解説します。
高度専門職では、申請人が行おうとする活動に応じて「高度学術研究活動(1号イ)」「高度専門・技術活動(1号ロ)」「高度経営・管理活動(1号ハ)」の3つの類型に分けられ、それぞれ異なるポイント計算表によって人材評価が行われます。
主な評価項目は以下のとおりです。
・学歴(修士号や博士号等の取得)
・職歴(実務経験の年数)
・年収(年齢に応じた年収基準)
・年齢(若いほど高配点※1号ハを除く)
・研究実績(特許発明、論文の掲載等)
・資格(日本の国家資格やIT告示資格等)
・日本語能力(N1やN2の取得、日本の大学卒業等)
例えば、修士号や博士号を持つ方、高年収の方、長年の実務経験がある方などは高得点になりやすい傾向があります。
実務上の注意点として、「1号イ(研究)」と「1号ロ(技術等)」には若いほど有利になる「年齢」のポイントがありますが、「1号ハ(経営・管理)」は「年齢」によるポイント加算が設けられていないといった違いがあります。
高度専門職1号の認定を受けるためには、原則として70点以上のポイントが必要です。
しかし、入管の審査実務においては「単純に合計点数が70点を超えていれば許可される」というわけではありません。ポイント計算の前提となる要件を誤ると、想定していた点数に達せず不許可となります。
特に実務上気をつけるべき点が、以下の「年収」に関するルールです。
・年収300万円の最低基準:高度専門・技術活動(1号ロ)及び高度経営・管理活動(1号ハ)においては、年収見込額が「300万円」に達しない場合、仮に学歴などでポイントの合計が70点を超えていたとしても高度外国人材とは認定されません。
・残業代は含まれない:ポイント計算の対象となる「報酬(年収)」には、基本給や賞与(ボーナス)は含まれますが、通勤手当等の実費弁償のほか、申請時点では不確実な「超過勤務手当(残業代)」を含めることはできません。
高度専門職の最大のメリットは、入管法上の強力な優遇措置を受けられる点です。
代表的なものとして次のような制度があります。
1. 複合的な在留活動の許容(例:会社で働きながら、自ら関連する会社を経営できる)
2. 在留期間「5年」の決定(法律上の最長期間が付与される)
3. 在留歴に係る永住許可要件の大幅緩和(永住申請への超特急ルート)
4. 配偶者の就労(学歴・職歴要件なしで、フルタイムの専門的就労が可能)
5. 一定の条件の下での親の帯同(7歳未満の子の養育等のため、世帯年収800万円以上等の条件)
6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同(世帯年収1,000万円以上等の条件)
7. 入国・在留手続の優先処理(認定は10日以内、変更・更新は5日以内を目途)
特に将来的に日本での永住を検討している方にとって、高度専門職は非常に有利に働きます。一般的な就労ビザでは原則10年の在留歴が必要ですが、高度専門職として「70点以上」を有している場合は【3年】、「80点以上」を有している場合はわずか【1年】で永住許可申請の対象となる特例が設けられています。
高度専門職1号の外国人が転職する場合、非常に重要な注意点があります。高度専門職1号は、パスポートに貼付される指定書に「特定の勤務先」が記載されるため、転職によって勤務先が変わる場合には、たとえ職務内容が同じであっても、事前に「在留資格変更許可申請」を行い、新たな勤務先でのポイント計算に基づく許可を受けなければなりません。
これを怠ると不法就労となる可能性があるため、企業側も採用時には厳重な注意が必要です。
【行政書士のアドバイス(審査をスムーズに通すための+α)】
企業の人事担当者様から、「本人の学歴や職歴だけでは65点程度しかなく、高度専門職は難しいのではないか」というご相談を受けることがあります。
しかし実務では、外国人本人の属性だけでポイント計算を行い、企業側に関する加点項目を見落としているケースも少なくありません。
高度専門職制度には、一定の要件を満たす受入企業に対する特別加算があります。
例えば、出入国在留管理庁が定めるイノベーション促進支援措置の対象企業である場合には「10点の加点」が認められます。また、一定の条件を満たす中小企業についても「追加加点」の対象となる場合があります。
そのため、本人のポイントだけでは70点に届かない場合でも、企業側の要件を確認することで高度専門職の要件を満たす可能性があります。
高度人材の採用を検討する際には、候補者の学歴や職歴だけでなく、自社が高度専門職の特別加算対象に該当するかを事前に確認することが重要です。特に研究開発型企業や成長分野の企業では、思わぬ加点要素が見つかることもあります。
また、近年は高度人材制度の一環として、一定の学歴・職歴・高年収要件を満たす外国人を対象とした「特別高度人材制度(J-Skip)」も導入されています。高度専門職ポイント計算とは異なる制度ですが、高度な専門人材の採用を検討している企業にとっては併せて確認しておきたい制度といえるでしょう。
今回は、高度専門職の審査基準やポイント制度、そして高度外国人材に認められている優遇措置について解説しました。
高度専門職では、学歴、職歴、年収、年齢、研究実績、日本語能力、企業属性による加点などを総合的に評価し、原則70点以上で高度外国人材として認定される可能性があります。
また、在留期間5年、永住申請要件の緩和、配偶者の就労優遇、親の帯同、入管手続の優先処理など、通常の就労資格にはないさまざまな優遇措置が設けられています。
一方で、高度専門職はポイント計算だけで判断される制度ではなく、年収の算定方法や証明資料の準備、転職時の手続など、実務上の注意点も少なくありません。
次回は、技人国ビザと高度専門職のどちらを選択すべきかという視点から、転職や永住申請との関係、不許可事例、就労資格証明書の活用方法などについて解説します。
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