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公開日:2026年6月11日 | 最終更新日:2026年6月11日
「高度専門職で転職する場合、どのような手続きが必要なのだろうか」
「技人国ビザと比べてどちらが有利なのだろうか」
「永住申請を早くしたいなら高度専門職へ変更した方がよいのだろうか」
このようなお悩みをお持ちではありませんか。
高度専門職の転職では、技人国ビザとは異なる手続きが必要になるため、事前に制度の違いを理解しておくことが重要です。
高度専門職には、永住許可要件の大幅な緩和や在留期間「5年」の一律付与など、多くの優遇措置があります。
しかし、転職時には技術・人文知識・国際業務(以下、技人国ビザ)よりも厳格な手続きが必要になるため、必ずしも全ての外国人にとって最適な在留資格とは限りません。
実務上は、転職予定の有無や将来の永住計画、家族構成などによって適した在留資格が異なります。
この記事では、高度専門職と技人国ビザの違いを比較しながら、転職時の注意点や永住申請との関係、不許可になりやすいポイントについて分かりやすく解説します。
・転職のしやすさを重視するなら「技人国ビザ」が有利
・永住申請を早めたいなら「高度専門職」が有力な選択肢
・高度専門職は70点以上で永住特例や在留期間5年などの優遇措置が受けられる
・高度専門職は転職時に事前の在留資格変更許可申請が必要
まず結論からお伝えすると、転職のしやすさ(自由度)を重視するなら「技人国ビザ」、永住へのスピードや家族帯同等の優遇措置を重視するなら「高度専門職」が有力な選択肢になります。
まずは両制度の違いを一覧で確認してみましょう。
| 比較項目 | 技人国ビザ | 高度専門職1号 |
|---|---|---|
| 制度の前提 | 専門的・技術的業務に従事 | 就労資格(技人国等)の要件をクリア+ポイント70点以上 |
| 転職時の手続き | 事後14日以内の「届出」(同一職種の場合) | 事前の「在留資格変更許可申請」が必須 |
| 在留期間 | 5年、3年、1年、3月等 | 一律で「5年」を決定 |
| 永住申請の在留歴 | 原則10年 | 「1年」または「3年」に短縮 |
| 家族帯同の優遇 | 家族滞在(週28時間制限)等 | 配偶者のフルタイム就労(特定活動)、親・家事使用人の帯同可 |
| 在留手続きの優先処理 | なし | あり(変更・更新は5日いないを目処) |
高度専門職は技人国ビザは別の就労資格というよりも、技人国などの就労資格に加えて、高度人材に優遇措置を与える制度です。
そのため、「どちらが上か」ではなく、「転職予定の有無」「永住申請の時期」「家族構成」などを踏まえ、自身のキャリアプランに合った制度を選ぶことが重要です。
転職を予定している場合、両者の「手続きの厳格さ」の違いが最も重要な判断ポイントになります。
• 技人国ビザの転職(事後届出で柔軟に対応可能)
技人国ビザの場合、在留期限が残っている状態で「ITエンジニアから別会社のITエンジニア」など、同じ活動範囲内での転職であれば、事前にビザの変更申請を行う必要はありません。転職後14日以内に「所属機関に関する届出」を行うことで就労を継続でき、新しい会社での適合性は次回の在留期間更新時に審査されます。
• 高度専門職の転職(事前許可が必須)
一方、高度専門職1号はパスポートの指定書によって「特定の勤務先」が指定される在留資格です。そのため、たとえ同じ職種への転職であっても、新しい会社で働く前に「在留資格変更許可申請」を行い、改めてポイント審査を受けて許可を得なければなりません。「同じエンジニア職だから問題ない」と手続きをせずに働き始めると、不法就労(資格外活動違反)となってしまいます。
さらに、転職によって年収が下がったり、転職先で「企業加点(イノベーション加算等)」が使えなくなったりしてポイントが70点を下回る場合は、高度専門職を維持できず技人国ビザへの変更を余儀なくされるケースもあります。ステップアップ転職を頻繁に予定している方は、手続きが柔軟な技人国ビザの方が適しているケースが多々あります。
高度専門職は、次のような経歴や資格を持つ方にとって非常に検討価値があります。
・ 修士・博士号を取得している人(修士号は原則20点、博士号は30点の加算。また、経営管理分野であればMBA等の専門職学位も25点等の高評価。)
・ 高年収のITエンジニア(年収加点に加え、日本の「情報処理技術者試験」や「IT告示資格」に合格・保有していることによる加点。)
・ 研究職・コンサルタント(学歴や長年の実務経験ポイントとの親和性が高い傾向がある。)
実務上、最も強力でありながら見落とされがちなのが「企業加点(特別加算)」です。 外国人本人の学歴や職歴だけでは70点に届かなくても、採用企業が国や自治体の「イノベーションを促進するための支援措置(法務大臣が告示で定める補助金など)」を受けている場合は【10点】が加算されます。 さらに、その企業が中小企業基本法に規定する「中小企業」である場合は追加で【10点】が上乗せされ、企業側の属性だけで一気に【合計20点】もの巨大なボーナスポイントを獲得できる可能性があります。
| 加点項目(主な例) | 加点例(ポイント) |
|---|---|
| 博士号の取得 | +30点 |
| 修士号の取得 | +20点(分野により例外あり) |
| IT関連資格・国家資格の保有 | +5点〜10点(※1つ保有で5点、複数保有で10点) |
| イノベーション促進支援措置対象企業 | +10点 |
| 上記に該当する中小企業(追加加算) | +10点(イノベーション加算と合計で20点) |
| 試験研究費等比率が3%超の中小企業 | +5点 |
「中小企業勤務だから高度専門職は無理だろう」と最初から諦める必要はありません。本人と企業、双方の要件をフル活用してポイントを積み上げることが、高度専門職取得への近道となります。
【行政書士のアドバイス(審査をスムーズに通すための+α)】
企業加点(イノベーション促進支援措置など)を活用して高度専門職を申請する際、実務上、人事担当者様が最も苦労されるのが「疎明資料(証拠書類)の収集」です。
例えば、企業加点の「20点(イノベーション10点+中小企業10点)」を獲得するためには、単に「当社は対象企業です」と主張するだけでなく、法務省が指定する支援措置(ものづくり補助金やIT導入補助金など)の「交付決定通知書の写し」等の客観的な証明書類を提出する必要があります。
しかし、これらの書類は社内の「経営企画部門」や「経理部門」が厳重に保管しており、人事部門がその存在を把握していなかったり、スムーズに取り寄せられなかったりするケースがあります。
外国人材の採用計画(特にポイントがギリギリの候補者の選考)を進める際は、事前に社内の関連部署や顧問税理士と連携し、「自社が過去にどのような補助金や支援措置を受けており、それを証明する通知書が手元にあるか」を棚卸ししておくことが、追加資料要求による審査の遅延を防ぎ、優秀な人材を最短ルートで迎え入れるためのポイントとなります。
通常の永住申請では、原則として10年以上の在留歴が必要です。
しかし、高度人材ポイント制度には特例があり、
・80点以上なら1年以上
・70点以上なら3年以上
継続して在留している場合は、永住申請が可能となります。
実は、この特例は現在「技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)」で働いている方でも利用できます。
永住申請時から遡って1年前(または3年前)の時点で、80点または70点以上のポイントを有していたことを客観的資料で立証できれば、高度専門職へ変更していなくても永住特例の対象となる可能性があります。
このような制度は一般に「みなし高度人材」などと呼ばれることがあります。
そのため、
「永住申請を早めたいなら、必ず高度専門職へ変更しなければならない」
というわけではありません。
ここまで読むと、
「高度専門職は転職時の手続きが大変なら、技人国ビザのままで良いのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、永住申請を視野に入れている場合は、高度専門職への変更が有力な選択肢となるケースがあります。
なぜなら、永住許可申請では、高度人材ポイントによる特例を満たしているだけでなく、現在有している在留資格について原則として「最長の在留期間(当面は3年)」で在留していることが求められるためです。
そのため、みなし高度人材として70点または80点以上のポイント要件を満たしていても、現在の技人国ビザの在留期間が「1年」の場合には、永住申請が難しくなることがあります。
一方、高度専門職1号へ変更した場合は、在留期間が一律で「5年」となるため、永住申請に必要な在留期間の要件を満たしやすくなるという大きなメリットがあります。
実務上は、
• 現在のポイント数
• 技人国ビザの在留期間
• 永住申請の予定時期
• 転職予定の有無
を総合的に検討し、高度専門職へ変更するかどうかを判断することが重要です。
大学卒の場合は専攻と業務の関連性が「柔軟」に判断されますが、日本の専門学校卒の場合は「相当程度の関連性(直接的な結びつき)」が厳格に要求されます。
例えば「デザイン系専門学校」を卒業した外国人を、語学力を活かす目的で「海外営業」や「通訳」で採用しようとしても、関連性が立証できず不許可となる事例が見受けられます。
入管は雇用契約書の肩書きではなく「実態」を審査します。
例えば「エンジニア」として採用しても、実際の業務の大半が現場の技能実習生が行うような部品加工や梱包作業(反復訓練で従事可能な単純労働)である場合は不許可となります。
実務上多いのが「年収」の計算ミスです。高度専門職1号ロ(高度専門・技術活動)1号ハ(高度経営・管理活動)では、年収が「300万円」に達しない場合は認定の対象になりません。また、この年収には不確実な「残業代」を含めることはできません。
高度専門職では、ポイント加算の根拠となる客観的資料が必要です。
例えば職歴を加算する場合は、
・在職証明書
・職務内容証明書
・雇用契約書
などによって、勤務先や業務内容、勤務期間を証明する必要があります。
特に海外企業での勤務歴は、退職後に証明書の取得が難しくなるケースも少なくありません。
そのため、高度専門職を検討している方は、転職や退職の際に関連資料を保管しておくことが重要です。
なお、ポイント計算に必要な資料は、全ての加点項目について提出しなければならないわけではありません。
70点以上を立証するために必要な項目について資料を提出すれば足ります。
技人国ビザを持つ外国人を中途採用する場合、
「現在有効な在留カードを持っているから問題ない」
と考えるのは危険です。
転職後の業務内容が現在の在留資格の活動範囲に適合していなければ、次回の在留期間更新時に問題となり、不許可リスクが生じる可能性があります。
そこで活用を検討したいのが「就労資格証明書」です。
就労資格証明書は、現在の在留資格で新しい勤務先の業務に従事できるかについて、あらかじめ出入国在留管理庁に確認を求める制度です。
取得は義務ではありませんが、
• 業務内容の適合性を事前に確認できる
• 更新時のリスクを把握しやすい
• 企業と外国人本人の双方が安心して雇用関係を開始できる
といったメリットがあります。
特に、初めて外国人採用を行う企業や、業務内容の該当性に不安がある場合には、有効なリスク管理手段の一つとなるでしょう。
高度専門職には永住申請の特例や家族帯同に関する優遇措置など、多くのメリットがあります。しかし、全ての方にとって最適な制度とは限りません。
技人国ビザが向いている人
・転職予定がある
・キャリアアップやキャリアチェンジを検討している
・柔軟な働き方を重視したい
高度専門職が向いている人
・現在の技人国ビザの在留期間が短く、永住申請を早めたい
・高度人材ポイントの要件を満たしている
・親の帯同や家事使用人の帯同などの優遇措置を利用したい
・当面は転職予定がない
重要なのは、「高度専門職の方が有利そうだから選ぶ」のではなく、現在のポイント数や在留期間、転職予定、永住申請の時期などを総合的に検討し、自身のキャリアプランに合った在留資格を選ぶことです。
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高度専門職への変更を検討している方や、転職後の在留資格、永住申請の可能性について不安がある方は、まずは高度人材ポイントの確認とリスク診断から始めてみてはいかがでしょうか。
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