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公開日:2026年6月12日 | 最終更新日:2026年6月12日
・海外子会社勤務だからといって必ず企業内転勤になるわけではない
・ 企業内転勤は「直前1年以上の海外勤務」が大きな判断ポイント
・技人国は「専門性のある業務」が中心でなければ許可されない
・学歴だけでなく、専攻内容や職歴と仕事内容の関連性が審査される
第1回では技人国の許可要件、第2回では企業内転勤の許可要件を解説しました。
最終回となる今回は、実際の外国人採用の現場でどのような順番で在留資格を検討すべきか、また不許可リスクにつながりやすい点について解説します。
制度を個別に理解するだけでなく、「どのように判断するのか」という実務的な視点から整理していきましょう。
まず最初に確認すべきなのは、外国人が行う予定の業務が「専門的・技術的業務」に該当するかどうかです。
入管法上、企業内転勤で行う活動は「技術・人文知識・国際業務」に掲げる活動として定義されています。そのため、従事予定業務が専門的・技術的業務に該当しなければ、技人国だけでなく企業内転勤の許可も難しくなります。
次に確認するのが、その人材の「契約(採用)形態」です。
外国の事業所で既に雇用されている社員を日本の事業所へ異動させる場合、日本企業との新たな雇用契約の締結が企業内転勤の必須要件ではないため「企業内転勤」の可能性があります。一方、日本の企業が直接採用し、新たに雇用契約を結ぶのであれば「技人国」の検討が中心になります。
転勤(人事異動)の形をとる場合は、企業内転勤の要件を確認します。実務上のポイントは以下の2点です。
・ グループ企業関係:単なる取引先ではなく、本店と支店、親会社と子会社といった出資・資本関係があること。
・ 外国での勤務実績:申請に係る転勤の「直前」に、外国の事業所で「継続して1年以上」専門的業務に従事していること。 この「1年間の継続要件」を満たせない場合は、次のステップ4(技人国)へ切り替えて検討する必要があります。
企業内転勤の要件(1年以上の継続勤務など)を満たさない場合や、日本企業が外国人を直接採用する場合は、技人国ビザの上陸許可基準を確認します。
具体的には、
• 業務に関連する大学や専門学校の卒業歴
• 一定年数以上の実務経験
• 学歴・職歴と従事予定業務との関連性
• 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬
などが審査対象となります。
実務上は、「学歴があるか」だけではなく、「その学歴や職歴が従事予定業務とどのように結び付いているか」を説明できるかどうかが重要になります。
実務では、最初から「技人国か企業内転勤か」を考えるのではなく、「業務内容 → 採用形態 → 企業内転勤要件 → 技人国要件」の順に確認することが重要です。制度の名称から判断するのではなく、事実関係を一つずつ整理していくことで、適切な在留資格選択につながります。
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この4つのステップを理解しておくと、実務上は一つの在留資格にこだわらず、別の在留資格の可能性を検討できるようになります。
例えば、「海外子会社で採用して半年しか経っていないエンジニアを、日本本社へ早期に異動させたい」というケースを考えてみましょう。
この場合、海外事業所での勤務期間が1年に満たないため、企業内転勤の上陸基準省令を満たさず、企業内転勤での申請は難しくなります。
しかし、そこで検討を終える必要はありません。
本人が業務に関連する大学を卒業している場合や、技人国の要件を満たしている場合には、日本法人との契約に基づいて技術・人文知識・国際業務として申請できる可能性があります。
実務上重要なのは、「海外子会社からの異動だから企業内転勤」と決めつけないことです。
業務内容、本人の学歴・職歴、契約形態などを総合的に確認することで、別の在留資格が選択肢となるケースもあります。
制度の名称から判断するのではなく、事実関係を一つずつ整理しながら最適な在留資格を検討することが、適切な外国人採用・配置につながります。
「海外の子会社に所属している社員だから、企業内転勤で日本へ異動させられるはずだ」と考える企業担当者は少なくありません。
しかし、企業内転勤は単にグループ企業間の異動であれば利用できる制度ではありません。
まず、企業内転勤では、申請に係る転勤の直前に外国の事業所において継続して1年以上勤務していることが上陸基準省令で求められています。そのため、採用後まもない社員や、転勤直前に形式的に海外法人へ配置された社員については、企業内転勤の要件を満たさない可能性があります。
また、企業内転勤で日本国内において行う活動は、入管法上「技術・人文知識・国際業務」に掲げる活動とされています。そのため、海外で勤務していたという事実だけでは足りず、日本で従事する予定の業務が専門的・技術的業務に該当することも必要です。
例えば、海外拠点で主に工場内作業や倉庫作業などに従事していた人材を、そのまま企業内転勤として日本へ異動させようとしても、業務の専門性を説明できなければ専門性が認められず許可されません。
企業内転勤の審査では、「グループ会社の社員であること」だけでなく、
• グループ企業関係の有無
• 転勤前の勤務実績
• 従事予定業務の専門性
という複数の要件を満たしているかの確認が必要です。
技人国は、「学術上の素養や専門的知識を背景とする業務」に従事するための在留資格です。
そのため、雇用契約書上の肩書きが「エンジニア」や「通訳」であっても、それだけで許可されるわけではありません。
入管審査では、職種名ではなく「実際にどのような業務を行うのか」という実態が重視されます。
例えば入管の不許可事例では、「エンジニアとして申請したが、工場で現場の技能実習生が行う部品の組み立てや梱包と全く同じ作業であったケース」や、「派遣会社に翻訳・通訳として雇用されたが、実際の派遣先が小売店であり、単なる接客販売に従事させられていたケース」などが公表されています。
これらの事例から分かるように、入管が確認しているのは肩書きではなく業務の実態です。
専門的な業務が一部含まれているだけでは足りず、外国人本人の専門知識を活用する業務が業務全体の中心を占めていること、専門知識を活用するだけの「十分な業務量」の説明が重要なポイントとなります。
候補者が大学卒業などの学歴要件を満たしていても、それだけで技人国の許可が認められるわけではありません。
入管審査では、「大学や専門学校で学んだ内容」と「実際に従事する業務内容」との関連性が重要な判断要素となります。
特に企業担当者が理解しておきたいのが、大学卒業者と専門学校卒業者では、関連性について求められる説明の仕方が異なるという点です。
大学卒業者については専攻と業務内容の関連性が比較的広く判断される傾向があります。一方、日本の専門学校卒業者については、修得した専門課程と従事予定業務との間に、より具体的な関連性が求められます。
例えば、「イラストレーション学科」や「国際ビジネス学科(英語中心)」の専門学校を卒業した外国人を、接客や販売業務で採用しようとしても、専攻科目との関連性が認められず不許可となる事例があります。
また、学歴だけが審査対象となるわけではありません。
学歴要件による立証が難しい場合でも、関連する業務について原則10年以上(国際業務については3年以上)の実務経験があり、その内容を在職証明書などの資料によって客観的に説明できれば、職歴によって要件を満たせる可能性があります。
技人国ビザと企業内転勤は、どちらも専門的・技術的分野の業務(単純労働不可)を対象とする在留資格であり、法律上、対象となる業務内容は全く同じです。
しかし、両者は制度の趣旨と許可要件が明確に異なります。技人国ビザは日本企業による新たな「採用(雇用契約等)」を前提とするのに対し、企業内転勤は海外拠点から日本法人への「期間を定めた人事異動(新たな契約不要)」を前提としています。
実務では、まず「業務内容の該当性(専門性があるか)」を確認し、その後に「契約形態(新規採用か異動か)」、「海外での勤務実績(直前1年以上の継続勤務があるか)」、「学歴・職歴要件(大卒等や10年以上の経験を満たすか)」という4つのステップの順番で整理していくことが重要です。
外国人採用における在留資格の判断は、職務内容や企業グループの構成、本人の経歴によって結論が変わります。
「現在の要件でどちらのビザが取りやすいか」という表面的な判断だけでなく、「将来的に国内の別事業所へ異動する可能性があるか」「無期限で雇用し、将来の永住も視野に入れているか」といった中長期的な人事戦略によって、最適な選択肢は異なります。
特に企業内転勤と技人国ビザの選択で迷う場合は、個別事情を踏まえた綿密なシミュレーションが必要になるため、自社で見切り発車で判断せず、入管業務に精通した専門家へ相談しながら確実な人事戦略を立てることをお勧めします。
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