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公開日:2026年6月1日 | 最終更新日:2026年6月1日
【技人国ビザ申請で注意したいポイント】
・「営業」「ホテル業務」などの職種名だけでは許可は判断されない
・ 専門的な仕事内容であることを具体的に説明する必要がある
・ 学歴や専攻と業務内容の関連性が審査の重要ポイント
・ 単純作業の割合が高いと不許可になる可能性がある
・ 雇用理由書で業務内容や1日の流れを示すと審査対策になる
前回の記事では、「技術・人文知識・国際業務」が1つの在留資格であること、そして入管の審査では「在留資格該当性」「上陸許可基準適合性」「相当性・関連性」という流れで確認されることを整理しました。
もっとも、実際の申請では、「営業なら大丈夫」「ホテル業務だから難しい」「ITエンジニアなら問題ない」といったように、職種名だけで単純に判断できるものではありません。
重要なのは、実際にどのような業務を行うのか、その業務にどの程度の専門性があるのか、そして本人の学歴・職歴とどのようにつながっているのかを、客観的な資料で説明できるかどうかです。
この記事では、「技術」「人文知識」「国際業務」それぞれの考え方に加えて、海外営業やホテル業務など、実務上判断に迷いやすいケースについて整理していきます。
「技術」の分野は、理学、工学その他の自然科学の分野に属する専門知識・技術を要する業務を指します。
代表例としては、ITエンジニア、システム開発、プログラマー、インフラエンジニア、CAD設計、機械設計、研究開発などがあります。
特に近年は、IT分野の業務において技人国ビザが活用されるケースが非常に多くなっています。
この分野の審査では、担当する業務において、
「実際に高度な技術的判断を行っているか」
「開発・設計といった学術上の素養を背景とする専門知識を活用しているか」
が重要になります。
一方で、
「機器の単純監視業務のみ」
「マニュアルに沿ったデータ入力・対応のみ」
「工場等での現場手作業中心」
などの場合は、一定水準以上の専門的能力を必要としない「反復訓練によって従事可能な単純労働」と判断され、不許可となるリスクがあります。
「人文知識」の分野は、法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務を指します。
代表例としては、営業、経理、人事、総務、法務、マーケティング、経営企画など、いわゆる企業の「総合職」や「企画・管理部門」の業務が該当します。
実務上よく不許可の原因となるのが、「一般事務」との境界線です。
単なる補助作業ではなく、大学等で修得した学問的知識を用いた「分析・判断・企画・立案・調整」などを伴う業務かどうかが厳格に審査されます。
たとえば、海外マーケティング、法人営業、経営企画などは客観的な関連性を説明しやすい一方、コピー取り、ファイリング、単純なデータ入力のみが中心の場合は専門性が否定され不許可となる可能性が高いです。
また、雇用契約書に「営業」と記載されていても、実態が店舗でのレジ打ちや料理の配膳などの接客業務中心である場合も同様に不許可の可能性が高くなります。
そのため、特に中小企業(カテゴリー3・4)においては、「雇用理由書」を用いて「専門的な業務が毎日フルタイムで存在すること」を自ら積極的に立証することが求められます。
「国際業務」の分野は、外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務が対象になります。
代表例としては、翻訳・通訳、語学の指導、海外取引業務、服飾や室内装飾のデザイン、商品開発、外国向け広報などがあります。
国際業務では、「外国人特有の知識・感覚・語学力」を活かして一定水準以上の専門的業務を行っているかが重要になります。
そのため、単に職場で外国語を少し使うだけではなく、海外顧客との高度な折衝、母国文化の深い理解に基づく商品開発、正確な翻訳・通訳能力などが、業務の中で重要な役割を持っているかが確認されます。
特に翻訳・通訳やホテルフロント等の「言語能力を用いる対人業務」においては、原則として「CEFR B2相当(日本語能力試験N2以上など)」の語学力を有していることが許可の前提とされます。
一方で、日本人でも代替可能な単純な接客や、語学の使用が限定的(挨拶程度など)な業務は、国際業務としての専門性が認められず不許可となります。
【重要】国際業務ビザの「学歴」と「3年の実務経験」ルール
「国際業務」の区分で申請する場合、実務経験の要件を満たす必要があります。
基本的には、「これから行う仕事に関連する業務について、3年以上の実務経験」が必要です。
例えば、海外取引業務や服飾デザインなどの業務に従事するためには、過去の会社で同種の業務を3年以上経験していたことを、在職証明書などの客観的な書類で立証しなければなりません。
ただし、「大学を卒業した人が、翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合」に限り、特例としてこの3年の実務経験は免除(不要)とされています。
つまり、国内外を問わず大学を卒業していれば、実務経験がゼロの新卒であっても、すぐに翻訳や通訳、語学教師の仕事で申請することが可能です。
このように、国際業務の区分では「大学を卒業しているかどうか」や「どの業務に従事するか(翻訳・通訳等か、それ以外か)」によって、求められる実務経験の有無が明確に変わるため、入管の審査基準を正確に理解した上で書類を準備しなければなりません。
海外営業は、実務上その区分がよく議論になる分野です。
例えば、「市場分析」「営業企画」「海外企業との契約交渉」などの業務が中心であれば、経済学や経営学などの学術的知識を用いる業務として「人文知識」に該当すると整理される傾向があります。
一方で、「商談時の通訳」「外国文化を踏まえたローカライズ調整」などの要素が強い場合には、外国特有の思考・感受性を要する「国際業務」としての性質も持ち合わせることになります。実際のビジネス現場では、どちらか一方だけに完全に分かれるわけではありません。
ただし、新卒の留学生を「国際業務」の区分で申請する場合、大卒であっても「通訳・翻訳・語学指導」以外の業務(海外取引業務など)では「3年以上の実務経験」が法令上求められます。そのため、実務上は大学での専攻(経済学など)との「関連性」を紐付けて「人文知識」として立証を組み立てるケースが多くなります。
ホテル業務も、インバウンド需要の増加に伴い非常にご相談が多い分野です。
例えば、「フロントでの外国人客への外国語対応」「海外旅行会社との予約調整」「館内案内の通訳・翻訳業務」「宿泊プランの企画立案」などが中心であれば、技人国ビザの対象として許可される可能性があります。
ただし、翻訳・通訳やフロント対応などの「言語能力を用いる対人業務」においては、原則として「CEFR B2相当(日本語能力試験N2以上等)」の高い語学力を有していることが許可の必須要件となります。
一方で、「ベッドメイク」「客室清掃」「レストランでの配膳」「荷物運びなどの単純接客」が中心となる場合は、「反復訓練によって従事可能な単純作業」とみなされ、専門性が欠如しているとして不許可となります。
実際の企業において、担当する仕事内容が完全に1種類のみというケースは多くありません。
そのため入管の実務では、「在留期間中の活動を全体として捉えて判断する」という原則の下、「活動全体の中で、専門的業務が主たる活動として中心になっているか」という視点で整理されます。
例えば、
「法人営業+商談通訳」
「ITエンジニア+クライアントへの技術提案」
「貿易実務+契約書の翻訳」
などの複合的な業務であっても、それら全てが一定水準以上の専門性を有しており、活動全体の合理性が客観的に説明できれば、許可される可能性があります。
① 単純作業の割合が高い
実務上、最も不許可になりやすい注意点の1つです。雇用契約書上の職種名が専門職であっても、実際の業務において、店舗での接客、レジ打ち、工場でのライン作業、清掃などの「反復訓練によって従事可能な単純作業」が主たる活動になっていると判断された場合は、不許可リスクが極めて高くなります。
② 学歴と業務内容の「関連性」の説明が弱い
特に専門学校卒業(専門士)の場合は、大学卒業者(関連性が柔軟に判断される)とは異なり、原則として「専攻内容と実際の業務との間に相当程度の関連性(直接的な結びつき)」が厳格に求められます。そのため、単に必須書類を提出するだけでなく、「学校で具体的にどの科目を履修したか」と「現在の業務のどの場面でその知識を活用するか」を雇用理由書等で論理的に説明・立証することが非常に重要です。
③ 業務内容が抽象的で曖昧
雇用契約書の職務内容欄に「営業業務全般」「店舗管理」「総合職」などと抽象的な記載しかない場合、審査官から「具体的な業務の専門性が不明確であり、実質的に単純作業を含んでいるのではないか」と疑われ、厳しい追加資料提出通知を受けるか、不許可になる傾向があります。
そのため、特に中小企業や新設法人等(カテゴリー3・4)においては、「雇用理由書」を任意で添付し、「1日の具体的なタイムスケジュール」や「各業務の割合(%)」、「業務で使用する具体的なスキル」などを詳細に補足し、専門的な業務量が十分に存在することを自発的に立証することが実務上求められます。
【行政書士のアドバイス】審査をスムーズに通すための+α
実務上、中小企業様(カテゴリー3・4)の申請において最も不許可や追加資料要求を受けやすいのが、最後の見出しにある「業務内容が抽象的で曖昧(総合職や店舗管理等)」のケースです。
入管の審査官は、雇用契約書に「店舗管理」と書かれていても、「実態は単なる品出しやレジ打ち(単純労働)の隠れ蓑ではないか?」という強い疑いの目を持って審査を開始します。
この疑念を初回の申請で払拭するための工夫は、雇用理由書の中で「1日のタイムスケジュール(例:10:00〜12:00 海外サプライヤーとの英語での商談・発注、13:00〜15:00 販売データの分析と企画立案…)」を時間単位で明記し、かつ「それぞれの業務で、大学(専門学校)で履修した〇〇という科目の知識をどう使うのか」を客観的に紐付けて提示することです。
「抽象的な言葉に逃げず、具体的なスケジュールと履修科目で審査官を納得させること(=立証すること)」が、スムーズな許可を勝ち取るための秘訣となります。
「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国ビザ)」は、3つの分野が1つの在留資格に統合されており、従事する業務の性質によって整理されている制度です。
入管の実務では、主に以下の3つの流れで審査が行われます。
1. 予定している業務が、学術上の素養を要する一定水準以上の専門的業務か
(在留資格該当性)
2. 学歴・職歴の要件や、日本人と同等額以上の報酬などの基準を満たしているか
(上陸許可基準適合性)
3. 学校での専攻科目(履修内容)と実際の業務内容の間に合理的なつながりがあるか
(相当性・関連性)
また、実務上、「技術」「人文知識」「国際業務」の分野は完全にきれいに分かれているわけではなく、「ITエンジニア+顧客対応」や「海外営業+商談通訳」など、複数の要素を含む複合的な業務も少なくありません。
そのため、審査においては会社名や「総合職」「営業」といった抽象的な職種名だけで判断されることはなく、「実際にどのような専門業務を、どれだけの割合(業務量)で継続して行うのか」という職務の実態が細かく確認されます。仮に業務の一部であっても「反復訓練によって従事可能な単純作業」が中心となっていると判断されれば、専門性が否定され不許可となるリスクが極めて高くなります。
川口市・戸田市・蕨市・さいたま市周辺でも、IT・営業・通訳翻訳などさまざまな仕事内容で技人国ビザのご相談をいただきますが、特に中小企業や新設法人等(カテゴリー3・4)においては、定型的な必須書類を提出するだけでなく、「雇用理由書」等を用いて業務の専門性や十分な業務量を自ら積極的に立証しなければなりません。
個別の学歴(大卒か専門学校卒か)や企業の状況、現場研修の有無などによって審査の判断は大きく分かれるため、「自分の状況で許可が下りるのか」と不安がある場合は、不許可リスクを避けるためにも、申請前に専門家である行政書士へご相談されることを強くおすすめします。
技人国ビザは、職種名だけで機械的に判断できる在留資格ではありません。仕事内容、業務量、学歴・職歴との関連性を丁寧に整理し、入管に対して分かりやすく立証することが大切です。
川口市で技術・人文知識・国際業務ビザの申請をご検討の方は、川口市の就労ビザ申請ページもご覧ください。
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